「これお願いします」
「ありません」
「あ、じゃあ、こっちでお願いします」
「ありません」
「・・・・・」
ベトナムの純現地レストランで出会う光景です。
ほんのわずかな知ってる単語を探し当てて、なんとか知ってる食べものを見つけたときは、「おお!あれかー!前に食べたとき美味しかったな、またお願いしてみよう!」とホッとして注文します。料理の写真を載せてくれてるメニューのお店に遭遇したときなんかは、ありがたいのなんの。
せっかく現地にいるのだから、よくわからない食べものに挑戦してみよう!といった闇鍋的な冒険は、しないタイプです、はい。
悪びれもせず「ありません」
メニューに載っていても、悪びれもせず「ありません」と当たり前のように言う店員さんに、最初はいささかびっくりしました。
日本では「大変申し訳ございません、本日売り切れてしまって・・・」と、ものすごく申し訳なさそうにしてくれる店員さんが多いので、知らないうちに、それがわたしのデフォルトになっていたのです。
そのうち、「ありません」と言われるのがデフォルトになったので、「ある」と言われると、喜びを味わうことができるようになりました(笑)。「ない」と言われたらがっかりするので、お店に行く前に電話で確かめるという技(?)も覚えました。
それにしても、「ない」ならないで、「ある」ものだけ教えてくれればいいのだけど、どうやら、そういうシステムにはならないらしい。たしかに、純現地のレストランに訪れる純現地の人は、いちいちメニューなんか見ないで注文している人も多いような・・・。
ベトナム人の友人と一緒のときは、店員さんが「ありません」と堂々と言うと、日本人のデフォルトを心得ている友人が、わたしに向かって「申し訳ないね、残念だけど、これは今日ないらしいんだ」と、店員さんの代わりに(?)申し訳なさそうにしてくれたりするのでした。
メニューは飾り物
日本では、メニューに書いてある料理は、注文すれば提供してもらえます。仕入れがないとか、売り切れたとかは、事前に知らせてくれる。つくづく恵まれた環境で、ありがたいと思います。
でも、あの食堂が教えてくれたことが、ひとつあるとすれば。
用意された選択肢が飾り物なら、問うべきは「なぜないのか」ではなく、「いま、キッチンに何があるのか」なのだと思うのです。手元にある素材から始まる即興劇のほうが、よほど温かい一皿になることも、あるのではないでしょうか。
なんてことをつらつら考えていたら、久々に、純現地のBia Hoiで、ベトナムの友人とビールを飲みたくなる、暑い一日でした。